発展するドウロの赤ワイン
ポルトガルの代表的なワイン生産地、ドウロ渓谷は数百年の歴史を持つポートワインの生産地です。ドウロ河の流れが創りだした、この目のくらむような急勾配の丘陵地は、今日ポルトガルの極上のワイン産地とみなされています。
激しい太陽にさらされた片岩質のこの丘陵地では、世界中の愛好者が賞賛する素晴らしい酒精強化ワインを生むトゥリガ・ナショナルとトゥリガ・フランセサというポートワインの推奨品種が栽培されています。
今日、この地では産地呼称名ドウロの辛口赤ワインが 造られています。昨日までは単なるテーブルワインでしたが、今日、将来偉大なワインになる可能性を秘めていることが証明されてきつつあるワインです。
ドウロのワイン生産地は、ヨーロッパのとりわけ偉大な産地に属しており、濃縮度の強い、繊細な、新鮮な、長熟能力のあるワインを生む能力を持っています。もし南部産ワインの特徴を考慮するならば、よりいっそうドウロのワインの素晴らしさに感じ入るに違いありません。実際、南のワイン産地の中でも、固くガッシリしていながら豊かなアルコールとガストロノミックな深い風味が渾然一体になったワインを生むドウロのような産地は稀少なのです。それは、ミネラルを多量に含む土地質と隣接した大西洋の影響のおかげといえます。
この二十年来、ドウロ渓谷において、辛口赤ワインは発展を続けてきました。もっとも流行の影響を免れることはできず、色素エッセンスや強化熟成法がもたらすジャムのような濃縮香濃縮風味の強いスタイルのワイン造りに譲歩せざるをえませんでした。しかし、優れた造り手たちは、自分たちのワインを世界的な傾向に併せていくことは間違っており、ドウロの辛口赤ワイン本来の価値(繊細さ、エレガンス、明澄さ)を損なうものであることをすぐに理解したのです。間違った歩みは長く続きませんでした。今日、私は、ドウロのワインの価値を擁護するディーク・ニエポートを筆頭に最良の造り手たちに出会えることをうれしく思います。これは、当地にとってどれほど喜ばしいことかはかりしれません。
トップクラスの造り手として私が取り上げるのは、キンタ・ド・ヴァレ・ドナ・マリア。そしてクリスチャン・ヴァン・ゼレーと彼の醸造担当者サンドラ・タヴァレスです。彼らの2003年ヴィンテージは普通クラスのワインからして素晴らしい出来栄えです。ピュアな果実味にクリームのようなコクがあり、どのワインにも濃厚でバランスのよい力強さと品の良さがあり、上級物が持つ骨格と精確さをそなえています。同じ領域では、キンタ・ド・パサ・ドウロの造り手ホルヘ・セロデオ・ボルジェス には別の栄誉を与えたいものです。彼の手になるキュヴェ・パサドウロ・レゼルヴァは実に見事な作品で、豊饒かつ熟成と香りの調和が取れた、その繊細さと滋味に魅了されるワインです。ティント・ロリーズ(イタリア版テンプラニーリョ)の老樹のブドウとトゥリガ・フランセサをベースに造られるこのレゼルヴァは、気品があり上質で、そのうえ価格も順当なワインなのです。
ドウロの新しい歴史、、、大変評判のいいホルヘ・モレイラのワイン、ポエイラを味わってみてください。古風な色合いの絹のようなテキスチュアを持つ2001年ものに対して、2003年ものは複雑味と豊饒さを身上としています。さて、私の特薦生産家リストの最後を飾るのが、ラヴラドレス・デ・フェイトロリア家の二つのワインです。まず、まだまだ若いのにすでに成熟しているトレース・バゴス2003。食欲をそそってやまない果実味とスパイスやミネラルのニュアンスのアロムが口中に広がるワインです。もうひとつは、ガッシリとした骨格を持ち、完璧な調和の取れたトレース・バゴス・オロ2003です。
ドウロ渓谷産辛口赤ワインの素晴らしい可能性と偉大さに関する例証。
ラ・ルヴュ・デ・ヴァン・ド・フランス誌2006年1月号
L'envergure des rouges du Douro